やめどき日和習い事・通信教育の「やめたい」に寄りそう

ピアノを辞めたいけど辞めたくない子ども。練習しないのに「やめない」と言うとき、親が分けて考えること

公開 /更新 /数値の確認日 2026-10-17
文: やめどき日和 編集部(確認の方法)

ピアノを「辞めたいけど辞めたくない」と子どもが言うとき、多くの場合、やめたいのは家での練習で、手放したくないのはレッスンや先生、ピアノを弾ける自分です。まずこの2つを分けて聞き、続けるなら練習の量や時間帯を家庭で作り直し、期限を決めて様子を見ると、親子で言い争う回数が減ります。区切りの時期を決めておけば、「やめなくていい」と「やめてもいい」のどちらに落ち着いても、子どもが自分で選んだ形にできます。

要点

まず
「何を」やめたいのか、「何を」続けたいのかを、レッスン・家の練習・先生や発表会に分けて聞く
続けるなら
練習の量を一度下げ、時間帯と曲を子どもと決め直す。先生にも家庭の事情を伝える
迷うなら
「次の発表会まで」「学年が変わるまで」など、期限を一つ決めてから判断する

「辞めたいけど辞めたくない」は、2つの気持ちが同時に本当

練習の声かけをすると「もうピアノやめたい」。では教室に連絡しようかと聞くと「やめない」。親からすると、どちらが本心なのか分からなくなります。

ただ、子どもにとっては両方とも本当であることが少なくありません。ピアノには、性格の違う時間がいくつも入っているからです。

  • 週に一度、先生の前で弾くレッスンの時間
  • 家で一人、同じところを繰り返す練習の時間
  • 発表会や検定など、人前で弾く日に向けた時間
  • 「ピアノを習っている自分」という、友だちや家族の前での立ち位置

このうち一つがつらくなると、子どもは「ピアノ」全体を指して「やめたい」と言います。ほかの部分が好きなままなら、続けて「でも、やめたくない」と言います。矛盾しているのは言葉で、気持ちは筋が通っている、と考えると話を聞きやすくなります。

子どもの言葉を、3つの場面に分けて聞いてみる

「どうしてやめたいの?」と正面から聞くと、子どもはうまく答えられないことが多いものです。場面を分けて、ひとつずつ「好き・ふつう・いや」を聞いてみてください。

場面聞き方の例「いや」だったときに考えられること
レッスン先生のところで弾くのは楽しい?先生との相性、レッスンの進み方、注意される回数
家の練習おうちで弾くのはどう?練習の量、時間帯、曲が難しすぎる・好きでない、声をかけられ方
発表会・検定人の前で弾く日のことを考えると、どんな気持ち?緊張、間違えることへのこわさ、準備期間の長さ

「レッスンは好き、練習はいや、発表会はふつう」なら、手を入れるのは家の練習です。「レッスンがいや」なら、先生や教室の形を考える話になります。全部が「いや」で、それでも「やめない」と言う場合は、やめたあとの自分が想像できない、友だちに何か言われそう、親をがっかりさせたくない、といった別の理由が隠れていることもあります。

聞くときは、答えを否定しないことがいちばん大切です。「練習しないのに?」と返したくなる場面ですが、そこで話が止まります。この段階は、判断ではなく材料集めの時間です。

練習しないのに辞めたくないなら、続け方を作り直す

家の練習がつらい、という答えが出たら、「やめる・やめない」より先に、練習の形を作り直す方法があります。ご家庭で試しやすいものを挙げます。

量を一度、子どもが「これならできる」まで下げる

毎日30分を目標にしていて1日もできていないなら、目標そのものが子どもに合っていない可能性があります。「1日1回、通して弾けばおしまい」「今週はこの4小節だけ」のように、子どもが自分で達成できる量まで下げ、できた日を数えるほうが、練習が戻ってくることがあります。

時間帯と声のかけ方を決めておく

練習の声かけが毎日の言い争いになっているなら、時間帯を固定するだけで減ることがあります。「夕ごはんの前」「お風呂の前」など、生活の流れの中に置き、声をかけるのは一度だけと親の側で決めておきます。

先生に、家庭の状況をそのまま伝える

練習ができていないことを先生に隠したくなる気持ちは自然ですが、伝えたほうが、曲の難しさや宿題の量を調整してもらえる可能性があります。「練習が少なくても続けたい本人の気持ちがある」と添えると、先生も方針を考えやすくなります。

この作り直しを試して、子どもの様子が変わるかを見る期間を決めておくと、次の判断がしやすくなります。

親の「辞めさせたいけど辞めさせたくない」も分けておく

迷っているのは子どもだけではありません。親の中にも、次のような気持ちが同時にあるはずです。

  • 練習しないなら、月謝がもったいない
  • 送迎や練習の付き添いが、正直しんどい
  • ここまで続けたのだから、もう少し弾けるようになってほしい
  • やめ癖がつくのではと心配

どれも自然な気持ちですが、子どもの気持ちと混ぜて話すと、子どもは「親が困っているからやめる/続ける」と受け取りがちです。親の事情は親の事情として、子どもとは別に夫婦や家族で整理しておくと、子どもに向ける言葉が短くなります。

「やめ癖」については、やめる理由と時期を自分で考え、相手に伝えて終わらせた経験は、投げ出すこととは違う、と考えることもできます。

続ける・形を変える・区切りをつける。決めるときの目安

作り直しを試したあとは、子どもの様子を見て、どれに近いかを考えます。

子どもの様子考えやすい選び方
練習の量を下げたら、少しずつピアノに向かう日が出てきた続ける。量はしばらくこのままでよい
レッスンは好きだが、家ではほとんど弾かない状態が続くやめなくていい選択肢として、「家では弾かない前提」で続けられるか先生に相談する。回数やコースを変えられる教室もある
レッスンの日が近づくと元気がなくなる先生・教室を変えるか、区切りの時期を決める
ほかにやりたいことがはっきりある区切りの時期を決め、次の習い事の体験と並べて考える

迷うときは、「次の発表会まで」「学年が変わるまで」のように、終わりが見える期限を一つ決めるのがおすすめです。期限があると、子どもも「それまではやってみる」と決めやすくなり、親も毎週悩まずにすみます。期限が来たら、もう一度、場面ごとの「好き・ふつう・いや」を聞いてみてください。

ピアノのやめどきを年齢や進み方の面から考えたい方は ピアノのやめどき、やめたあとの家庭の様子を知りたい方は 「ピアノをやめてよかった」についての記事 もどうぞ。

やめると決めたら、教室の決まりを先に確かめる

区切りをつけると決めた場合も、すぐに先生へ伝える前に、入会時にもらった書類や教室の決まりを見ておくと安心です。個人の教室・楽器店の教室・音楽教室のチェーンなど、ピアノ教室は形がさまざまで、退会の申し出の時期や月謝の締め方も教室ごとに違います。

  • 退会を何か月前まで、どの方法(口頭・書面・アプリなど)で伝えるか
  • 最後の月の月謝やレッスンの扱い
  • 発表会の参加を申し込んでいる場合、その費用の扱い

書類が見つからない場合は、先生に「やめることも含めて相談したい」と先に伝え、決まりを教えてもらう順番でも大丈夫です。最後のレッスンを子どもが自分で「ありがとうございました」と言って終われるように、日にちに少し余裕を持っておくと、ピアノの時間を良い記憶のまま閉じやすくなります。

ほかの習い事のやめどきは、バレエをやめたいと言う娘への向き合い方 や サッカーのやめどき でも整理しています。通信教育の退会条件は やめどきデータベース にまとめています。

「辞めたくない」と言える習い事があるのは、子どもにとって大事な手ごたえです。続けても、区切りをつけても、その気持ちを一緒に見てきた時間は残ります。

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